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社長の役割と仕事について考えました

 

社長は偉いのではなく、あくまで会社における役割

「社長」というとどういうイメージがありますか?
多くの人は社長というのは「お金持ち」だったり「偉い人」とイメージします。

実際にお金持ちかどうか、どうしてそうなるのかというのは後で触れるとして、
「偉い」というのはどういうことでしょうか。

偉いという言葉は地位や身分が高いという意味を持っています。

その意味では会社において指揮命令系統の最上位に位置する社長は、
地位が高いので「偉い」と言えるかもしれません。

しかし、実際に世の中で尊敬される偉い人が社長ではありませんよね。
あくまで会社における長であるという役割を担っているだけで、
世の中の社長が全員偉いわけではありません。

社長というのはあくまで会社中では一番責任ある人というだけで、
必ずしも偉いものでも、地位が高いわけでもありません。

社長の仕事は何でしょうか?

ここまではなんとなく腑に落ちるとおもいます。

それでは社長の仕事というのは何なのでしょうか?
社長というのはなんだか仕事をしていないような人と思われます。

それは正しいです。

しかし、社長がいるからこそ会社が存在するのも事実です。

それでは社長の仕事は何でしょうか。
私は以下の2つに集約されると考えます。

  1. 会社の長期的な繁栄を目指して方向を定め、指示すること
  2. なにかあった時に最終的な責任を負うこと

この2つをやることが社長のすべての仕事です。

まず、「何かあったときに最終的な責任を負うこと」という仕事を考えましょう。
よくニュースで見かけますが会社で不祥事が起こったら社長が謝罪をします。

これは社長がその不祥事に直接関係がなくても、
会社という「法人」、架空の人の集団を代表をしているからです。

よって、不祥事も含めて会社がうまく経営されなければ社長の責任です。
当然、会社の血液であるお金の責任を負うのも社長です。

借入ではなく投資家からの出資をもらうこともできます。
しかし、その割合に応じて社長が解任させられることがあります。

会社を経営するということは全ての責任を負うことです。

創業時の社長はハイリスク・ローリターン

「社長はお金持ち」というイメージがありますが、なぜそうなるのか具体的に考えてみましょう。

すでに順調に経営が回っている会社の社長になれば、
そこまで心配しなくても体制が整っているので安心です。
その場合、ある程度報酬をとっても全く問題ないので、社長は個人的にもお金持ちになります。

しかし、新しい会社を立ち上げるというのはどうでしょうか。
この場合、はじめは容易に自分の給与以上に借金を背負うことになります。

なぜそうなるのか。ちょっと計算してみましょう。

最初に特に投資が必要のない会社とします。
一人35万円の給与とすれば、保険料等合わせると毎月50万円くらい必要です。
その他、採用費用やオフィスの賃貸費用を考えればもっと必要です。

70万円くらいとしておくと、10人の会社では700万円必要です。
毎月700万円が確実に出ていってしまうので口座には1000万円くらい必要です。

最初はうまく売上が立たなければその期間だけお金は毎月出続けます。
工場などは設備投資も数千万円必要ですからあっという間に費用がかさみます。

会社がうまく拡大していくと、設備が増えたり、取引先が増えたり、社員が増えるので、
それにともなって今必要な資金もどんどん増えていきますから、
簡単に数千万、数億となり、会社が大きくなればなるほど一人の給与で返せる額ではなくなります。

自分ごととして考えると恐ろしいくらいにお金が必要だということが分かります。
しかも、基本的には住宅ローンよりも高い金利で借入をすることになります。

借入とはいえ手元に数千円を持っているわけですからある意味「お金持ち」なのかもしれませんが。

ただし、お金を稼ぐだけなら社長である必要はまったくない

単にお金が欲しいだけなら社長にならなくて良いと考えてます。

社長というのは会社には責任を負うために必要な存在であるのと同時に、
その組織をどうしていきたいのかという強い思いが大切です。

それが立ち上げてばかりなら、創業者らが社長として、
「リスクはあるかもしれないけれど、なにかを実現するために組織が必要だ」
そう思ったからこそ会社という形をつくるのです。

あくまで理想を実現するために会社という形を取ったほうが良いからであって、
会社をつくることは目的となりえません。

それに、お金持ちになりたいなら必ずしも社長になる必要はありません。
最短距離を目指すなら成果が給与に反映される組織で圧倒的な成果をだすのが一番です。

営業マンでもエンジニアでも弁護士でも税理士でもスポーツマンでも、
どの分野でもトップレベルの人は上場企業の社長よりお金を稼ぎます。

その分野で才能があれば、相応の高い給与を支払うというのが市場です。

それではなんで社長は会社という組織を作ろうと思うのか?
やはりそれは「会社という組織ではないと実現できないことがあるから」
ではないからではないでしょうか。

それはお金では買えないもので、リスクを取ってまで会社にする理由となるはずです。

社長が一番すべき仕事とは?

ドラッカーの言葉に「知識を通して生活の資を稼ぎ、
成果をあげて社会に貢献する機会が豊富に存在するのは、組織だけだからである。」というものがあります。

現代の会社は社員にとっては生活を支えるものですが、
そこで存分に力を伸ばしそれらを活かすことでまずは自分が成長します。

会社自体は経済的には社員のおかげで資本が溜まっていきます。
しかし、これ自体はあくまで数字面で「良い会社」になるというだけの話です。

結局は社員も含めて周りの人がどれだけ満足してくれるのかが大切です。
その満足は単なる経済的価値ではなく、精神的に、人類全体への貢献につながるのかということです。

だからこそ社長は社員やステークホルダーに語りかけないといけません。

今、何を考えているのか?
これから会社をどうしていきたいのか?

この疑問を余すことなく自分の言葉で説明することが社長のすべきことです。

これはつまり社長が一番目にすべき仕事である、
「会社の長期的な繁栄を目指して方向を定め、指示すること」です。

ちなみにココロファンには一般的な社長はいません

これまで散々社長について論じてきました。
ココロファンも会社なので会社法に基づく代表取締役を設置しています。

これは対外的に代表権のある人間を設置する必要があることから生まれる義務です。
しかし、実質的には社長という役職を用いておりません。

確かに社長は最終的な責任を負う役割を担う人間です。
ただ、社長という役職を社内の階層における最上位とは位置づけていないのです。

あくまで社員の一員であって、会社の憲法であるビジョンと行動規範に従いながら、
これまで論じてきた社長としての大切な仕事に専念する存在です。

つまり、社長だからといってワンマンが許されるわけではありません。
全員が乗る船の最終的な責任者であり、船長ではありながら、
階層構造の上位にいる王様ではないということです。

これはごく当たり前の話で、社長が独り善がりで何から何まで口を出すことが大切な時期もありますが、
基本的には社員を束ねるのは会社のDNAである目的とビジョンであるべきだからです。

恐怖政治やカリスマ性で会社を成長させるよりも、全員がビジョンと行動規範を自分の言葉で解釈して、
より良い方向に進めることが何より一人ひとりの成長につながると信じているからです。

参考書籍

ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
英治出版 (2018-01-24)
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