データを使うのは使えるからではなく、使わなくては経営にならないから
データサイエンティストやデジタルマーケターが、
様々な行動データを分析するのは「データがあるから」ではありません。
データを基礎として意思決定を行うという習慣を経営に取り入れるためです。
つまり、データというのはあくまで事実ですが、
経営に結びつけるにはデータを基礎にした「意思決定」が必要です。
そして、その意思決定が検証可能な形にするための前提がデータなのです。
難しい統計分析ばかりやっているデータサイエンティストや、
デジタルマーケティングに従事しながら自分の手でGoogle Analyticsを、
動かしたことがないマーケターは片手落ちです。
役割分担がされているのであれば問題ないのですが、
生データ→分析→仮説→意思決定→追試→意思決定が正か否か判定→
追加データ→新しい仮説→意思決定…と常に回っていく仕組みこそが大切です。
データを基礎にする分析の良い点は検証可能ということです。
つまり、データは事実でありそれを分析した結果もまた事実です。
大切なのはこの分析結果をどう解釈するかです。
データの解釈によって、その対応策は正しい方向にも反対にもなりますが、
大切なのは将来その意思決定が正しかったかどうかを追試することです。
つまり、経営者が行った意思決定が、
正しかったかどうかというのは将来のデータが教えてくれます。
その結果、経営責任や経営者の判断について評価が可能になるのです。
これは、単なるデータ分析が経営に生きるというだけの話ではなく、
経営自体が科学的な方法により検証可能になるということを指します。
これまでのマーケティングも定量データを扱ってはいましたが、
変数が多すぎ、対照実験を行うことが難しいマスマーケティングが主でした。
それがインターネットを用いることで個別へのマーケティングが可能になり、
変数をコントロールした上で、意思決定がどう影響したかを観察できるようになりました。
これはつまり経営の科学化にほかなりません。
成果を出すマーケターはデータを基礎に判断する
グーグルによると、前年度のビジネス目標を上回ったマーケティング専門家のうち
56%がデータに裏付けられた意思決定が経験に基づく意思決定よりも優れているということに強く同意しています。
マーケティングは営業と合わせてフロントで市場を広げる役割を担います。
しかし、これまでは属人的、感覚的、職人技的マーケティングが主でした。
これでは会社としては成長しません。
営業に強い会社がトップ営業マンと新入社員とペアで営業活動を行い、
社内で営業ノウハウを共有する風潮ができているように、
トップマーケターは新人マーケターに一貫性のあるマーケティング手法を教え、
検証可能な形で繰り返すことで人を育てなくてはなりません。
こうした「仕組み化」に成功した会社は、売上が伸び続けますし、
仕組み化に失敗した会社は一生、社長のノウハウやカリスマ性に頼ります。
データによるマーケティング分析と意思決定は、
成功するかどうかにかかわらず次の作業のための貴重な学習ツールになります。
これこそが強いマーケティングを作り出すのです。