会社を作る時定款という「何をやるか」を決めた際、
「コンテンツ制作や管理業務」をやることリストに追加しておきました。
これからの時代、モノで満たされることはなくなるでしょう。
まだまだ家をかったり車を買ったり指輪を買ったりモノへの欲求は強いですが、
今、まわりの人を見ていると「仲間」や「友人」や「遊び」に全力をかけてるように見えるんです。
そこには共感とか楽しさがあるわけで、それを生み出すにはどんな方法があるかというと、
ITというのは一つのつながる手段ですよね。そして、ITで簡単に誰もが有名人やクリエイターになれるのですから、
じゃあ「人間の創作活動とそこから生まれる価値」もビジネスになるはずだと考えているのです。
コンテンツはマルチメディア上で流通する動画や静止画や音声や文字や
プログラムなどの表現で構成される情報の中身という定義だそうですが、
アートも広い意味ではここに含まれていると考えています。
2018年の美術品市場規模を2,460億円と推計しました。これは、2016年より継続している同調査の2,431億円、2017年の2,437億円に続き3年連続で増加という結果となっています。販売チャネル別に見ると、ギャラリーと百貨店は、増減しながらも2大チャネルを維持、アートフェア、インターネットサイト市場が過去3年間、増加傾向となっています。また、市場調査に加えて、「美術品の輸出入動向」、「ミュージアムへの訪問状況」を分析、さらに、将来のアート産業を考える上で指針となる層を「国際経験豊かなビジネスパーソン」と定義し、アートに係わる意識調査なども実施しました。
日本のアート市場に関する市場調査2018
アートとビジネス
「アート」というとどういうイメージを持たれますか?
日本では銀座の画廊や百貨店の美術品コーナーくらいでしか
見ることがありませんので普通はそもそもそういう場所に入ることすら
ないかもしれません。
実は世界のアート市場は7兆円前後、日本のアート市場も2400億円あり、
世界的に見れば中国で市場が拡大しています。
美術品は贅沢品なので景気の動向を強く受ける性質を持っています。
中国で好調なのは国内の経済成長が続いているからにほかなりませんね。
芸術というとビジネスとは程遠いように感じますが、
芸術家は購入者(パトロン)がいてその存在が成り立ちます。
誰も引き取ってくれない作品は世に出回らないということなので
悲しいですが歴史の中に埋没してしまうのです。
つまり、アート作品も「作って売る」という点では
ほかのビジネスと変わるところはありません。
異なることがあるとすれば、まず作品が1点もしくは少数のみであり、
その価値はまずは労働価値説ならぬ「大きさ」で決まるというのが
絶妙にアートっぽくなくて面白いですね。
その後は、売れ行き、作家の箔やギャラリーの箔で決まります。
基本的にギャラリーは新人作家の発掘して売り出すことと、
セカンダリー(中古)の作品の売買の差益で経営を成り立たせています。
アートの価値は市場で決まるか
芸術作品というのは、職人技みたいなものなので、
一点物や限定販売ということになりますよね。
「この作品みんながほしい」ということになれば、
市場原理から言えばオークションでべらぼうに高くなってしまうんです。
結局買える人は限られるから民主的に人気投票をしても
結局所有者は一部のコレクターになってしまうんですよね。
じゃあみんなが手軽にアートを楽しむにはどうすればいいのかと言うと、
買いやすい価格である程度たくさん作らないといけない。
つまり量産が必要になるんです。
じゃあそれでいいのかと言うとなんだか味気ないですよね。
とはいえ、既にリトグラフというのは限定で100部とか刷ってますから
ただのカラーコピーなんですけど、アート業界ではそれは偽物というわけ
ではなく、本物の限定版ということになってます。
それでも一枚数万円するわけです。(その価格だとおおよそ額代ですけど)
一方で安すぎるとあまりありがたみを感じないので
数万円というのはそんなに悪くはない価格設定なのかなというのも感じます。
結局はものすごいムーブメントを呼び起こさない限り
欲しい人しか買わないのでそれだけではマーケットが広がらない。
そして価格も人気投票だけでは決められないところもある。
その塩梅がアートを新しいビジネスにするときの難しさなのかもしれません。
ちなみに米国ではアート作品を証券化して、
共同保有することができるようなサービスがローンチされています。
僕もローンチ直後に登録してインベスター・リレーションズのジョセフさんから
コンタクトが来たりして、面白そうな仕組みだと思ったのですが、
仮想通貨の口座が足りなかったので結局やめちゃいました。
アートをブロックチェーンで民主化する試み
アートとビジネスを結びつける日本っぽくないスタートアップ企業ですが、
この後しっかりと3.3億円の調達をして成長しているんですね!
従来型のビジネスモデルではギャラリーがビジネスとして拡大したのであれば、
間違いなく評価が世界的に高いとされる有名作家の
セカンダリー作品を回転させることが一番儲かるでしょう。
その仕組みだとアーティストはどんなに有名になっても、
初期の作品はもうすでに安く売ってしまっているということになります。
しかし、作品の評価がダイレクトにアーティストの収入に
反映される仕組みであれば、初期の作品の人気が出てくると
所有者が変わるたびにその価値の一部が還元されるはずです。
かくいう自分も以前友人と「アート✕ブロックチェーン」というアイデアで実装してみたりしたのですが、
名もなきバンドをやっている人ではありながらアーティストではない僕には、
「来歴の記録をあえてこのプラットフォーム上でする必要性ってなんだろう」とか
「モノとブロックチェーンをどう結びつけるか(シールをはっておいても張り替えられたらわからない)」
とか、もんもんと考えたすえにいつの間にか流れてしまいました。
実はその問題点というのは些末なものでできるできないというより、
いかに多くの人ステークホルダーから賛同を得れるかというところが見せ所なのだと思いますので、
孫さんばりのネゴシ力でアートの流れを変えてしまうかもしれないと思います。
個人的にはデジタルなブロックチェーンにはデジタルアートとの親和性が高いと思います。
人にはコレクター性があるので「デジタルアート」というのも
「アバター」とか「LINEスタンプ」という線と意外と近いんではないでしょうか。
「じゃあそれはGREEのアバターの洋服やLINEスタンプと何が違うのですか?」
と言われるとちょっとたじろいじゃいますが本物が数十億円の現物だとしても、
デジタルなアートをコンテンツとして売ることは知名度向上にもなりますし、
販売物としてしまうのはありですよね。
誰もが知るアーティストの作品がギャグセン高いLINEスタンプに
なっていたらちょっとは使いたいなあと思いそうです。
草間彌生さんのスタンプとか連打されたらなんか怖いですけどね。
あのかぼちゃの絵とか、人間の創作活動といえばそうなのですが、
世界観がぶっ飛んでますよね。
ハマる人にはとてつもない中毒性をもっているのだと思います。
いずれにしても、誰しもココロにどこか変なところがあるわけです。
そういう一人ひとりの心にしっかりフックがかかるようなコンテンツをつくる
というのは並大抵ではないですがぜひココロファンでもやってみたいですね。