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ココロファンのキャリア|大航海時代を生き抜け

キャリアについて真剣に考えたことはありますか?

「そう言われても働くことで精一杯ですよ」

そう答える人は少なくありません。

学校を卒業してから仕事に就くときに自分のビジョンを強く持てた人ばかりではないことは、
何を隠そう、私自身がそうであったことからよくわかります。

多くの人にとって仕事をするという人生の最も時間をかけることについて、
あまりにも考えるチャンスは少ないように思います。

学校を卒業してすぐに自分がやりたい仕事を定めることは困難です。
なにせ働くということについてよく分かっていないのですから当然です。

仕事について半年ほどはがむしゃらに働くことができたとしても、
働いているうちに「自分がこの仕事にどう取り組むか」ということについて考える余裕が出てくるでしょう。

そのときに一度自分の選択がどのような根拠があったのか、その時の思いについて、
振り返ってみたときに初めてキャリアについて考えているのかもしれません。

同一労働同一賃金とはキャリアの自分ごと化である

キャリアは流水のように身を任せていれば良いと考える人もいるかもしれません。
しかし、現代ではそんなことはまずありえません。

昨今の同一労働同一賃金の流れは同一労働の人に平等な対価を与えるということでもありますが、
一方で市場で評価されるスキルを持たない人であれば相応の賃金となるということでもあります。

つまり、欧米型であるジョブ型雇用の概念を取り入れることで、
大企業に集まっていた優秀な人材を市場に放出させることで経済活動の新陳代謝を上げる狙いがあります。

一見、平等を目指すための社会福祉政策のようですが、
その裏側には自分たちでキャリアを作るという、日本人が目を背けてきたことを直視する施策でもあります。

雇用という視点から変化しつつある一方で、わたしたちの価値観もまた変わりつつあります。

たとえば、私のようなゆとり世代においては、ひとりの人間が幸せに生きるために
自己実現のために働くという目的を設定する人も少なくないのではないでしょうか。

もちろん、生活のためにお金は必要ですが、夢として何を持っているのか?
どうしたらその夢を実現することができるのか、そのためのステップとして何が役に立つのか。
こうした問いを自分で立てた上で立ち回ることもまた求められているように思います。

それでは、そもそもそういった夢が無いという人はどうすればいいのか?
その問いに対しては挑発的ではありますが、

「むしろなぜ目的地がないまま泳いでいるのか」と聞きたいと思います。

航海するときは行き先を決めるけど人生の行き先は?

現代では人生探しのための旅に出るときに目的地がないことはあるかもしれませんが、
かつては航海するときに目的がないことはまずありませんでした。

その航海は香辛料を探すためだったり、新大陸を探すためだったり、
つまりは、一攫千金を狙う目的があって航海に出るものであり、
大きなリスクを取りながら、当時の知識なりに考えられて目的地に向かっていったのです。

その結果、大きな果実を手に入れることもありましたが、
敗血症や海賊などで命を落とす乗組員も少なくありませんでした。

一方で、わたしたちの人生については何に力を注ぐかを十分に考えません。
目的がはっきりしないまま生きていることも多いというのは不思議なことです。

だって、航海に出ることは非常に大きなリスクですから、目的なしには誰も行きません。
人生についても大きなリスクを取っているわけですから、
何かしらの目的がないのに彷徨うのになぜ耐えられるのでしょう。

目的と言っても「俺の人生はこれだ!」というものを決めろということではないです。
航海がそうであったように短いスパンで何らかの収穫を得るために行動を起こすための指針です。

現代では命をかけるリスクは取れませんし、誰しも幸せに生きることを願っているのですから、
会社がそれを守ってくれないことが明らかである現代において、
今自分が使えるリソースをできるかぎり活用する一つの短期目標でいいのです。

自分の目標をともに目指してくれる仲間(会社)があれば、
その人達の力をお借りしつつ、一緒に大きな夢を達成することができます。

つまり、会社というものも大航海時代の船のように、
一つの目標を達成するための一時的な共同体だと思えばスッキリするのではないでしょうか。

同じ仲間と新大陸を発見するために冒険を続けてもいいですし、
定期的に違う船に乗って香辛料貿易をしてもいいのです。

自分の持っている船乗りスキルを生かして、目標を達成するゲームだと思うと、
どのようにキャリアを考えればよいのかすこし見えてくるような気がします。

変化する時代において自分の価値観はブレずに持つ

実際多くの人が会社の愚痴を言ったり、不満を持ったりしていますね。
自分も勝手に社内に仮想敵を作ったりして不満を抱えたこともありました。

本来自分の「好き」や「夢」を追求しつつバランスを取れば良いにもかかわらず、
世間体を気にしたり、見栄を張ったり、慣習やしきたり、思い込み、自分の作り出した虚像によって、
本当は自分にとって必要ではない回り道を、自ら選んでしまうのです。

これは自分の夢や目的が自分でも分かっていないから、
とりあえず一日の大半を費やす仕事や会社に対して不満を持つのです。
でも、本来は自分のキャリアですからもっといい環境は自分で選ぶことができます。

私はキャリアにおいて目的を決めずに彷徨う人が多いのは、
「決めることが恐ろしいから」であると考えています。

目的や夢を持っていたとしてもそれが実現するかどうかというのはやってみないとわかりません。
大航海時代に繰り出した船乗りのように、そしてオランダ東インド会社の株主のように、
リスクを取って目的を達成することを期待しなければいけないのです。

しかし、多くの人は何かを決める時こう考えます。

「もし自分の思ってたように行かなかったらどうしよう」

人間は予想できないことや理解を超えたことを過度に恐れます。
これは生存本能として刻み込まれているのでそう簡単には克服できません。

キャリアにおいても失敗する可能性のある目標のために、
今のとりあえず安定している環境を捨てたり、得ている報酬を減らすよりも、
誰かがどうにかしてくれることを期待しているほうが簡単です。

しかし、今前述のように時代は個人のキャリア形成に委ねられつつあります。
この時代において自分の将来価値の決定要因は自分が今置く目標に依存するのです。

ならば、自分がどのように振る舞えば将来的に最も自分が輝けるのか、
自分の好き嫌いや夢を念頭に置いてキャリアを考えるべきではないでしょうか。

最終的に自分の幸せのためのキャリアであること

それでは、最後にキャリア形成について最も重要と考えられるアドバイスをご紹介します。
アメリカ最大のMOOCsであるCorseraがキャリアのアドバイスの初歩について、
世界中のキャリアカウンセラーや人事担当者に聞いた結果をまとめています。

  1. キャリア目標は早いうちに決めよう。
  2. 良い会社だけでなく、良い上司を探そう。
  3. 物事は一晩で変化するため、生涯学習に専念する。あなたはそれらとともに変化する準備が必要です。
  4. 試験の得点と学習を混同しないでください。
  5. 理論的な概念にとどまらないでください。新しいジョブにも応用しよう。
  6. 誰かの期待を捨てて、夢の仕事への旅にオープンになろう。
  7. 仕事と生活のバランスをとる傾向を強めよう。
  8. 謙虚であろう。
  9. 夢の仕事に就くために、自分自身に忠実でいよう。
  10. より高い給料のために夢を捨てる必要はない。
  11. 学び続けよう。
  12. たくさん読もう。
  13. 歩く前に走らないこと。

キャリアというのは一朝一夕ではなりえませんので、自分が思い立ったときに目的地を決めるべきです。
それは後で間違っていたことに気づいてもよいのです。

リスクを取った先に自分にとっての大きな果実を手に入れる可能性があるわけで、
その果実は他人から見て大したことがなくても自分にとって大変に価値があるものであることもあります。

人間は変化を怖がりますがこれからの時代は変化に柔軟に対応できることが一番大切です。
そのために学び続ける必要はありますが、決してつまみ食いにならないよう気をつけましょう。
目標が定まれば必要なことの8割は決まってきます。

大切なのは目標を決めて進むことであり、それが間違っているかとか、
他人から見て価値があるかということではありません。

そうは言っても自分のキャリアなるものを考えたことがない人には難しいかもしれません。
そこで足がかりにすべきヒントがあります。
MIT教授のエドガー・ヘンリー・シャイン(Edger Schein)は以下をキャリアの基盤とすることを主張しています。

  1. 自分は何が得意か
  2. 自分は一体何をやりたいのか
  3. どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか

とてもシンプルですね。

結局、自分の幸せというのはここからしか得られないようです。
私もかつては世間体や報酬を気にしていましたが、結果として仕事は全く楽しくありませんでした。

今あなたが嫌々ながら続けている仕事があるならば、そこから抜け出すために何が武器になるか、
そのためにどのくらい準備や計画が必要なのか。自分に意思がどのくらいあるのか考えてみましょう。

人生において体や精神を壊してまですべき仕事は一つもありません。
ぜひこの機会にまずは上記の3つのキャリアの基盤とすべきポイントを書き出してみて下さい。

そのときに家族や会社の仲間、上司が相談に乗れる環境だといいですよね。

ココロファンにおいても社員のキャリアについて壁打ち相手として、メンターとして、
しっかりと真剣に相談できる体制を整えていきたいと思います。