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アイデアに(ほとんど)価値はないと考える3つの理由

アイデアを考えることがすごいと思ってる人へ

アイデアが思いついたときどうしますか?

僕はなんて自分ってすごいんだろう!、よく考えたんだろう!なんて思ったりします。
ついつい他の人に話したくなってしまいます。

自分もかつてはアイデアを考える自分が好きでした。

しかし、今となってはとっても恥ずかしく思います。
適当なことを言って何もしてなかった自分を他の人はどう見たでしょうか?
口ばっかりでイラつかせる存在でしかなかったはずです。

今だから、はっきりと言えること。アイデアに価値はないです。

そう言い切ってしまうと「考えることが無駄なの?」と思う人もいるかもしれませんので、
ちょっと言いすぎなのですが、ここではそう言い切りたいと思います。

なぜアイデアに価値がないのでしょうか?

同じアイデアを思いつく人はたくさんいるから

アイデアという言葉はどこからどこまでを指しているのでしょうか?

日本語では「物事の中核的な考え、着想」という定義がされています。

その意味ではアイデアというのは必ずしも「独創的」であることを要求してはないんです。
人間は本当のゼロから1をつくることはできません。

しかし、ゼロと定義して1を作ることはできます。
これこそがアイデアの中心であり、着想ということです。

つまり、アイデアというのは中核となる発想を定義したその点のことです。

自分がどんなに新しいアイデアだと思ってもそれを考えつく人は実はたくさんいます。

例えば、世の中にインターネットがない時代に、
DNAを別の方法で見つけようとした科学者は世界に複数名いました。

こんな研究者しか関心のないニッチなテーマでも、
世界同時多発的に同じアイデアを持っていたわけです。

現代はインターネットでいろんな情報を手に入れることが出来る時代に、
そのアイデアは誰かがすでに考えています。

そんな世界で根拠なしに「私が一番に考えた!」と言い張るのは自信過剰です。
似たようなアイデアは世の中に溢れています。

アイデアは実現することが一番むずかしいから

アイデアはゼロから生まれないもので、自分が考える中心となる着想であると定義しました。
そうしたアイデアというのは普通、自分の経験や学習から生まれます。

その分野をよく知っている、課題を知っているからこそ、
アイデアが生まれるわけですが、その分野に詳しい人は同じことを考えていることも触れました。

では、なぜその人達がやらないのか、やってないように見えるのか?
それは(その時点で)行動が難しかったり、自分のリサーチが足りないからです。

まず、アイデアを実現することは思っている以上に難しいです。

ちょっとした思考実験をしてみましょう。
あなたは会社員で毎日8時間働いて片道1時間かけて家に帰ります。
家で新しいアイデアを実装しようと考えていますが、仕事でクタクタです。
実行には一日3時間しかかけられません。それでも世界初を目指してがんばります。

しかし、数カ月後別の会社がそのアイディアと同じものを公開しました。
どう思いますか?自分のアイディアが先だとそれでも言い続けますか?

こんなことはよくあることです。
特許を狙っていても先を越されることは普通にあります。

このことからもアイデアは知識としてある程度の材料が揃えば誰でも思いつくのです。

その発想の容易さと比較して実装するにはとてつもない労力が必要です。
アイデアを実行するのは簡単だと思う人は天才か、
考えるばかりで実行したこと無い人
です。

実現に向けて走ること。これがアイデアを実現するための一番のエネルギーであり、
いちばん大切な価値になります。

アイデアは磨かれて世の中に広まっていくものだから

アイデアに一番価値があるとしたら、インターネットの世界では、
NCSA Mosaicが最も価値があるアイデアだったと言えるかも知れません。

しかし、多くの人は「えっとそれ何?」と思いますよね。

確かにMosaicは世界初のインターネットブラウザですが、
今では多くの人はSafariやChrome、インターネットエクスプローラを使います。

アイデアを思いついたというが報われて欲しいと思ったことはありますか?
普通の人たちはそんなことよりも、自分の使いやすいものを使います。

マイクロソフトは強制的にIEをプリインストールして販売します。
GoogleはChrome Bookに強制的にChromeをプリインストールします。

どちらも素晴らしいブラウザですがアイデアとしては二番煎じどころではないものです。

繰り返しになりますが、アイデアそれ自体には価値がありませんが、
ここで分かることは、アイデアが良くても価値があるとは限らないということです。

つまり、ブラウザの例から分かるように、
新しいアイデアでも誰も欲しくならないものなら価値はありません。
誰も使えないものであれば使われずに消えてしまうのです。

だから、使いやすい二番煎じのものに人が価値を感じるのはおかしいことではありません。
世の中の力学においてパクリと言われても価値あるものが使われることは自然なのです。

そういうことを言うとある人がこういいます。
「アイデアがなければ何も生まれなかったんだ」と。

発想することはすべてのスタートです。
しかし、それ自体は点であって価値というグラフを作るものではありません。

どんな歴史的発見もいずれは誰かが見つけたアイデアなのです。
あなたである必要はないですし、あの人である必然性もありません。

だから、アイデアが自分にとって考えの中心でありそれに取り組むことが必要だと思うなら、
何事にも変えてそれを実現することに力を注がないといけないのです。

さらに、ビジネスの世界も見てみましょう。

スティーブ・ジョブズは他のエンジニアに比べてアイデアに長けた人です。
iPhoneの開発ではスティーブ・ジョブズのアイデアが世界を変えたと言っても過言ではないでしょう。
しかし、だからといってアイデアに価値があるわけではありません。

彼に価値があるのは「自分の信念に基づいて人を動かす力」があったからです。
決してアイデアではありません。それを実現する力です。

スマートフォンのようなものはBlackBerryも含めて大昔から発明されています。
だから「小型の携帯デバイス」というアイデアには価値がありません。
それを磨き上げて、ほしいと思わせるだけの魅力を作り出したことがすごいのです。

アイデアを言った人がいばるのは滑稽です。
それを実現し、世の中に受け入れさせた人たち全員に価値があるのであって、
アイデアを独り占めするのはとってもダサいことだとも思うのです。

最近、YouTubeでキングコングの西野さんがこんなことを言っていました。
西野さんは売れっ子でありながら、テレビ的なひな壇芸人を脱して活動しているようです。

 

「えっともうプレゼンされてるアイディアというのはもう殆ど世の中にあるもので、言ってしまったらもう9割は世の中にあるもので1割はひねりすぎて世の中に必要ではないもの。自分のアイディアっていうのは基本的には他の人も出していると考えて良いかも知れない。」ー西野亮廣