SBI証券のATMカードが2020年10月1日で利用終了になると聞きました。
SBI証券というとインターネット証券では楽天証券と並んでトップシェアです。
利用終了となるATMカードは証券会社の口座に入出金できるATMカードのことです。
「そんなものがあるのか!証券会社の口座って銀行口座と違うの?」
はい、違います。
証券口座はその名の通り証券会社に運用資金を用意するための口座です。
ここに入金してから、株式を購入したりします。
銀行口座は皆さんお持ちかと思いますが公共料金など自動引き落としのできる口座です。
似ているようで違います。
しかし、口座としては実はどちらも1000万円までペイオフという制度で守られています。
つまり資産として置いておく分には証券口座でも銀行口座でも同じです。
結局の所、資産を運用したいのであれば証券口座に、
生活資金として引落をしたいのであれば銀行口座に預金します。
実は前述のATMカードというのは証券口座に入出金できるカードです。
一般的に知られていませんが、証券口座をお持ちの方はもしかしたら持っているかもしれません。
私もSBI証券のATMカードを持っていましたが確かに今使うことはありません。
それは、資金移動がここ数年で格段に低コストで行えるようになったからです。
昔はまだまだ現金で預金することが普通でしたが、
現在はSBI証券手数料負担で他の銀行から定額自動入金をしてくれます。
つまり、手数料を気にせず口座振替で入金すれば事足りてしまうのです。
これほどまでに低コストで金融商品を購入できる時代はありません。
口座への送金手数料も負担してくれるのですからいい時代になりました。
今回はパーソナルファイナンスの基本として、とりあえず考えなくても、
ある程度、自分のためになる資産の持ち方をご紹介します。
銀行口座は住信SBIネット銀行か楽天銀行でOK
まず、私も含め多くの方は都市銀行の口座を使っていると思います。
信用金庫やJAバンクという方もいるかも知れません。
一番良いのはやはり自宅から使いやすいところに支店がある銀行でしょう。
ただし、資産運用を考えるならインターネット銀行は一つ持っておいたほうが良いです。
おすすめは、住信SBIネット銀行か楽天銀行、イオンで買い物するならイオン銀行もいいですね。
SBI証券の良いところは住信SBIネット銀行と連携がバッチリということです。
同じように楽天銀行と楽天証券も素晴らしい組み合わせです。
それぞれ、銀行のATMとしてはセブン銀行やローソン銀行が無料で使えますし、
利用料は自行宛であれば0円、他行宛振込手数料も条件によって数回無料、
手数料がかかっても150円程度でありメガバンクの比ではありません。
弊社では社員の給与振込口座の指定は現時点では行っていませんので、
インターネット銀行を活用したほうが土日や時間外の出金も比較的お財布に優しいでしょう。
(今後、財務戦略的に口座指定をお願いする可能性はありますが…)
住信SBIネット銀行の代表口座からスマホやPCからハイブリッド預金に資金を移動すれば、
つみたてNISAやNISA、その他証券買付が簡単にできるようになります。
「ハイブリッド預金!?」
今の所あまり気にしないでください。
簡単に言えば、銀行口座から簡単に証券口座に移せる預金口座のことです。
今回は積立NISAをやってみるケースを考えます。
現在、配当非課税で運用できるつみたてNISAの場合、
毎月3万円程度でも20年行えば720万円の積立となります。
「なんだ。大したこと無いな。パチンコでもいこう!」
そう思われる方も多いと思いますが、ちょっと待って下さい。
例えば毎年3%複利で運用できた場合、20年後には9,830,723円となります。
つまり263万円が積み立てた金額よりも余分に運用益として受け取れる可能性があります。
毎月たったの3万円の積立を今から20年ですから、25歳なら45歳まで行うだけで
簡単に子供の大学進学費用を賄うことができる上にマイカーの買い替えができるわけです。
決して不可能ではない金額からこのような可能性が十分生まれます。
この計算は積立NISAという制度を使って運用益を非課税としたケースです。
制度は誰でも使えますし、運用限度枠は小さいものの普通の人でも頑張れば活用できます。
デメリットはNISAは証券会社に口座を設立する必要があるということと、
基本的に初めての方は銘柄選択が必要だということです。
これは金融商品を買うということで少しハードルが高いところがありますので、
急がず焦らず、余裕が出てきたり、興味を持ち始めた段階でいつでもご相談ください。
ココロファンの社員の方でしたらもちろんご相談に乗ります!
今やったほうが良いことがわかる複利計算をしてみよう
「いや、ちょっと3万はきついよ」
確かに毎月3万円を積み立てるのはサラリーマンとしては難しいこともありますが、
1万円でも大きな効果があるということに気づいている人はほとんどいません。
「1万円なんて大したことないよね、コンビニで毎月そのくらい使ってるし」
確かに自分の家計簿を見ても毎月1万円どころではない金額を、
冷たいジュースやおかし、雑貨などに消費しています・・・(笑)
もし毎月1万円積立NISAで20年間運用したらどうなるか計算したことはありますか?
実はこうした複利計算を行うのは手計算ではほぼ出来ません。
人間は頭の中で計算することが難しいことはほとんどの人がやりません。
しかし、効果は確かにあるのです。
まず、簡単に計算できるサイトがありますのでご自身でできる範囲で数字を変えてみて、
将来どのくらい運用益が出る可能性があるのか試算してみることから始めましょう。
積立計算(複利毎課税)
https://keisan.casio.jp/exec/system/1254841870
例えば積立NISAを1万円から始めたとします。
毎月1万円で12ヶ月20年ですから、当然元本として240万円積み立てることが出来ます。
その上、運用することによる運用益として年利3%で運用出来た場合は、
87万円の運用益が加わり、合計で327万円の資産となるわけです。
これだけでも嬉しいですね。
今25歳ならたった毎月1万円で45歳には327万円になっているわけです。
それでも大したこと無いなと思うかもしれません。
この資産をさらにそれ以降も積み立てることにしたとしましょう。
その頃には積立投資に回せる資金余裕も出来てきたので5万円積み立てたとします。
するといくらになるのかというと・・・
なんと40年後に2000万円の資産が出来ているわけです。(20%の源泉課税後)
引退する頃には無理ない1万円と5万円の積立計画だけで2000万円の資産ができます。
年金は当然受け取ることが出来ますから心配せずとも慎ましく生活は送れそうです。
運用する金融商品によっては証券会社が手数料負担をしてくれることもあります。
SBI証券の提供している商品も王道のものは格安もしくは実質手数料負担なしで、
商品を購入することができるようになりました。
今は間違いなくインターネット証券を選択しなければいけません。
iDeCoよりも先にNISAをおすすめしている理由
少しお金に関心のある方でしたらiDeCoという制度もご存知だと思います。
個人的にも多くの方におすすめできる制度です。
しかし、個人的にまずはNISAからやってみてはとご提案するのは、
iDeCoは個人年金という性質上少しだけ制度がお硬いと感じるところがあるからです。
「やめたいな!」
そう思った時にやめられたほうが気が楽ではないでしょうか?
NISAは毎年120万円の非課税投資枠があり、これを使い切っても使い切らなくてもOKです。
すなわち、自分が投資に興味があればとりあえず積み立ててみることができます。
もちろん、やめて全部売ってしまっても構いません。
特に投資をほとんど行っていない人にとっては120万円の枠も大きく感じると思います。
まずは、この枠内で長期投資をしてみることで投資を勉強することができます。
もちろん、得をすることだけではなく損をすることもありますが、
得をしたとき(配当やキャピタルゲイン)については通常課税対象なのですが、
特例で非課税となるのでちょっとだけ嬉しい制度になっています。
また、思ったように行かなければNISA枠を使ってても売ってしまうことができます。
資金をずっと金融商品にしておかなくても普通の投資のように売買できる点がおすすめです。
(利用できるNISA枠は年間120万円のみなので注意)
iDeCoを退職金代わりにすると退職所得控除が使える
そうはいっても、NISAとiDeCo両方上手く使えたらなお良いわけです。
だからぜひ余裕が出てきたらiDeCoにも加入してほしいと思っています。
iDeCoは個人型確定拠出年金という自分で積み立てる年金制度です。
年金と言ってもいわゆる老齢年金のように毎月分割で給付を受けることもできますし、
60歳以降、退職金代わりに一時金として受け取ることも出来ます。
これまで大企業で運用されてきた退職金制度は功労賞という扱い、
そして老後資金準備という意味合いがあります。
しかし、現在は経済成長が止まり、年齢層の高い人の人件費削減という趣旨から、
退職金制度が廃止もしくは大幅に減額される時代になりました。
公務員やJRなどの退職金が多いとされてきた職種でも軒並み減額されてきています。
現在は会社の寿命も短く、社員が長期的に会社に在籍するメリットは低下しています。
個人のスキルを生かして他の会社に転職することも一般的になりました。
こうした社会情勢を踏まえると現在のところ会社としての退職金制度は見送っています。
一人の従業員として見ると退職金制度の問題点は「長く勤めないと受け取れない」ことです。
高度経済成長時代ならずっと勤めていることが当たり前でしたが、
結局は若いときは給与を抑えて資金を積立てることで退職金とするわけですから、
必ずしも良いことばかりではありません。
しかし、iDeCoに関しては高いポータビリティがあるため転職後も移動が可能です。
ぜひ余裕があればチャレンジしてほしいと思っています。
iDeCoのメリットとしては主に3つあります。
- 課税所得が下がることで住民税所得税負担が低下
- 運用益非課税
- 年金もしくは一時金として受け取ることで所得税負担が低下
この中でも1番は課税所得300万円ほどで年間5万5千円の節税となりますので大きいです。
また退職金代わりにiDeCoを使うことで退職所得控除を使うことができます。
退職所得控除は以下の通り計算されます。
20年以下 | 40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年) |
勤続年数はあくまで1社での勤続年数となります。
iDeCoのよいところは転職しても60歳まで継続することができるということです。
一方で長期の積立となるのでデメリットもあります。
iDeCoはおすすめだけど人にとっては効果が薄いことも
まず先にNISAをおすすめしているのは、iDeCoには具体的には以下のデメリットがあるからです。
- 60歳まで資金が引き出せない
- 転職等の際に手続きが必要
- イデコの手数料は意外と高コスト
- もらい方を考えないと節税にはならない
- NISAと同様自分で運用方針を決める必要がある
まず、1については当然ながら年金という性質上年金受給年齢にならなければ、
それ以前に掛けた年金を受け取ることはできません。
2については決して無駄になるわけではありませんが、
例えば転職先に退職金制度がある場合などはiDeCoの掛金を退職金とするのと、
会社から支給される退職金が重複することで退職所得の節税効果を薄める可能性があります。
この点については個々人によって状況が全く異なるのですが、
いずれにしても慎重にシミュレーションしておかないとは効果が出なくなります。
(そしてよく節税策に対して言っているのは数十万の節税のため頭を悩ませるのは不毛です)
3は運用管理手数料や国民年金基金への手数料として毎月数千円かかることです。
積立額が小さくても毎月の手数料は取られますから、
できることなら最大限毎月積み立てておくことで手数料の負担を下げる必要があります。
すると、毎月少なくない金額をiDeCoに積み立てざるを得なくなり、
その資金は60歳までは絶対に引き出せないので…と1のデメリットにも関係してきます。
4については2と関連して退職所得の控除をきっちりと受けられるかがポイントです。
以前から節税と言われているものの中には実は課税の繰延という場合が多いという話をしています。
iDeCoについても掛金は全額所得控除、個人事業主であれば損金算入となりますが、
給付時には当然ながらお金を受け取るわけですから課税対象となります。
5については年金と言っても自分で金融商品を選択して投資する形なので、
結局やっていることや、購入している資産はNISAとほとんど同じだということです。
しかしこれらをもって、やらないほうが良いとは一概に言えません。
やはり老後資金準備を優先させたければやったほうがいいですし、
ライフプラン的に退職所得控除を使えそうであればトライしてみても良いわけです。
このあたりは完全に個人の価値観やライフプランによって変わりますので、
インターネット上でメリットデメリットを読んだからといってやったり、やめたりするのではなく、
「自分はどうしたいだろうか?」と考えてみて意思決定をすることが大切です。
フィナンシャルプランを建てることは自分を知ること
資産運用としてすべてがバラ色という資産運用方法はありません。
NISAにしてもiDeCoにしても少なからずリスクを取ることで高い効果を出す可能性を期待するのです。
それでも、資産は自分で運用方針を決めて置くことが大切です。
よくある保険も実は中身は金融商品で高額な手数料負担を強いられているものがあります。
それより中身が明確で手数料も安い投資信託やETFで持っておいたほうが良いと考えます。
子供の学費に備えるのに年金を手厚く用意しておくのも変ですし、
毎日の生活が苦しいのにNISAを使うこともちょっと変ですよね。
万が一に備えたいのに保険としての機能が殆どない保険を買うのも同様に変なのです。
自分のライフスタイルやリスク許容度に合わせてやりすぎずゆるく資産運用を検討しましょう。
そのためにはインターネットの情報を鵜呑みにしてすぐやるのではなく、
お金に詳しい人にも意見を聞きながら、自分の価値観に合わせてできる範囲で計画しましょう。