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なぜ情報はこれまでもそしてこれからも激アツなのか

情報技術やIT、ICTという言葉って聞き飽きましたよね。
巨大企業がこうした言葉を使っているので古臭いようにも感じます。

毎日の仕事はつまらないかもしれませんが、
実は情報って「めちゃくちゃイケてる」概念だということです。
ということを伝えたくて私なりに考えたことをご紹介したいと思います。

 

情報があるから僕も君も世界も生きている!

 

「情報」というと、ニュースみたいな文字情報や視覚情報を思い浮かべます。
情報技術や情報科学のようにInformation TechnologyやInformation Scienceの訳語でもあります。

そもそも情報がない世界を考えたことはありますか?

ニュースがなければ無味乾燥な世界になりそうですし、
会話がなければお互いにコミュニケーションなんて到底取れません。
インターネットがなければコンピューターもありません。

 

実は人間の体の中にも情報がありますから、情報がない世界というのは死んでいます。
それは神経系と呼ばれるものを伝って電気信号で体を動かします。
脳の思考もニューロンとシナプスという信号を使って行われています。

つまり、ここでいう情報の前提にあるのは、
「何らかのメッセージを伝達し、受け取ったメッセージを解釈すること」です。

この考え方はノーバート・ウィーナーとフォン・ノイマンという2人の科学者が、
ほとんど同時期、第二次世界大戦中に到達した結論でした。

 

そう、情報がない世界は死んでいる世界です。
人間の神経に電気信号が通らなくなったら体は動きません。
思考することもできません。

情報を扱うという職業はとっても価値あるものだと思っています。
今では情報というとデジタルだったりコンピュータだったり、スマホをイメージしますが、
単に通信というのは単にLINEや楽天市場を使うためのものではありません。

通信手段は意味のあるメッセージを伝達し、受け取ったメッセージを解釈するための媒体としてあるのです。
逆に言えば通信が悪く、ノイズだらけの理解できないメッセージを許してしまうと、
意味のないものを世界中に撒き散らしてしまうことになります。

もし、そういった悪い媒体を介して送られたものは決して情報とは言えないのです。
意味のあるということは、情報自体が秩序を持っている、
つまり受け手にとって価値があるからこそ情報であり、そうでないものは、
単に物理の法則に従った不可逆的ノイズなのです。

そう考えると、通信インフラ系のシステムエンジニアとして、
なぜその仕事が必要なのか考えた時にめちゃくちゃ意義深いと感じませんか?

 

情報の創始者は情報を正確に伝える重要性に気づいた

 

人も動物も生きている以上常に情報が体内を駆け巡っています。
人間同士のコミュニケーションも情報です。

情報というのは面白いもので、生きている以上必要だということがわかります。
物理学ではよくよく「エントロピーは不可逆的に増大する」と言いますが、
実は生きるということはエネルギーや情報を体に取り入れることで、
エントロピー増大に対抗していると捉えることができます。

つまり、生きるということが物理の法則にどこか反していることなのです。
冷たくなる宇宙という話を聞いたことがあると思いますが、
私達は情報を取り込み、体の中でエネルギーを燃やしてその冷たさに対抗しているのです。

機械やコンピュータにも情報は常に出入りしつづけています。
IoTという概念は常時小さなものも情報の入出力を行う世界です。
これらもエネルギーを使って常に意味のある情報を作り出そうとしているわけですね。

だから、エネルギーと情報というのは実は関係が深いのです。

 

通信環境が悪いと電話が途切れたり、Wifiが途切れたりするように、
情報もいつでも正確に伝達され解釈されるというわけではありません。
これまでの通信技術ではこうしたことが起こらないようにするには、
どうしたら良いのかについて考えてきました。

通信技術が発達した裏側には、戦争中に何らかの指示を行う際に、
正確に情報を送り届ける必要性があったということがあります。

インターネットの歴史を知っている人も多いと思います。
この通信ネットワークはどこか一つの拠点が破壊されても、
迂回することで通信ネットワークを維持するという役割を果たすために生まれた発明でした。

情報理論を確立したウィーナーとクロード・シャノンはこの目的を達成するために、
現在デジタル技術として使われている符号化や圧縮といった様々な情報技術の基礎を構築しました。

なぜなら、先程も言ったように情報には意味がなければならないからです。

 

情報ってものすごく深い意味を持っている

 

「何らかのメッセージを伝達し、受け取ったメッセージを解釈する」

これができる系をシステムというと定義すると、
情報システムというのは単なるIT管理を指しているわけでは無いことがわかります。

「必要なメッセージを、いかに間違いなく届け、届いたメッセージをいかに正確に解釈するか」

という今まで考えたこともなかったくらい広い範囲の仕事をすることになります。
なぜシステムというのかというと相互作用について考える必要があるからです。

 

ERPパッケージ等を指す経営情報システムという用語があります。
これまでのお話からもわかるように、
決してセールスフォースやオラクルをうまく使うことが目的ではありません。

経営に必要な情報をいかに間違いなく届け、届いたメッセージを正確に解釈するかが目的です。

先程、生物とエネルギーと情報について触れましたが、
経営もお金を稼いで続いていかなくては潰れてしまいますから生き物なんではないかと思います。

そのために、情報が必要でありエネルギーが必要であり、
それらを食べることで会社という法人という人格を維持し続けているわけです。

つまり、社内のERPパッケージを導入したりコミュニケーションツールを導入することは、
必要な情報を手に入れる手段であって目的ではありません。

だから、経営情報システムという言葉をイメージした時、
単純に技術やサービスだけにとらわれるとその目的を見失ってしまいます。
情報が何のために必要なのかを考えた時、初めてその価値が現れるのです。

結局使いこなせないシステムはユーザー(従業員)を苦しめます。
無駄な指標に振り回され、意味のない仕事に精を出します。
この会社の経営に必要な情報とは何かを定義しなければ、単にノイズを集め続けるだけなのです。

 

余談ではありますが面白い記事がありましたのでご紹介します。

進化論を「再定義」する物理学者、ジェレミー・イングランドとの対話
https://wired.jp/2016/08/21/interview-jeremy-england/