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テレワークを導入した時に労務担当者と会社がするべきこと

みなさん、こんにちは!

テレワークってずっと前からありましたが、
実際に導入されてきたのは最近のこと、身近に感じたのは初めてかもしれません。

個人的には「テレワーク」ってちょっと古い言い方な感じがするのは私だけでしょうか。
在宅ワークというのもなんか違いますし、やはりテレワークなのでしょうかね!?

数年後、新型コロナが日本の働き方を変えたと言われる時代も来るかもしれません。

実際にやってみると顔を合わせるメリットは確かにあると感じる反面、
移動や会議はオンラインでだいぶ減らすことができると実感しました。

仕事によってはどうしても現場に居なければ仕事にならないということもありますが、
在宅でもできる仕事は積極的にテレワークに切り替えていきたいですよね!

 

就業規則にテレワークについて定める

 

さて、多くの会社では新型コロナによりなし崩し的にテレワークとなったため、
まだ就業規則としては定めていない会社も多いかもしれません。

これまでの就業規則は会社に来て働くことを前提とした働き方であったために、
費用負担や勤怠管理という点で従業員と齟齬が生じることもあります。
そのため、就業規則という形で取り決めをしておく必要があります。

また、実は後述する東京都の「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」においても、
就業規則にテレワークに関する規定を定めることとしています。

従業員との取り決めのためにも、
助成金を活用するためにもテレワークに関して就業規則に定めましょう。

 

弊社はどのようなテレワーク勤務規程を定めたか?

 

弊社の場合は就業規則に加えて「テレワーク勤務規則」という新しい規則を作成しました。
就業規則がすでに様々な規定を含んでいるので、
テレワークに関しては別の規則としたほうが読みやすいと考えたためです。

また、テレワークといえども基本的には就業規則に則った勤務となります。
しかし、テレワーク特有の問題、課題について専用の規則で整理したほうが良いと感じました。

まず、テレワークについて定義を行いました。
弊社の場合は在宅勤務を基本として、
将来的に会社で契約するサテライトオフィスの利用も考えられました。
そのため、在宅勤務の他、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務について定義しました。

 

(定義)第2条 
在宅勤務とは、従業員の自宅、その他自宅に準じる場所において情報通信機器を利用した業務をいう。

サテライトオフィス勤務とは、会社が指定する会社専用施設(以下「専用型オフィス」という。)、
又は、会社が契約(指定)している他会社所有の共用施設(以下「共用型オフィス」という。)
において情報通信機器を利用した業務をいう。

モバイル勤務とは、在宅勤務及びサテライトオフィス勤務以外で、かつ、社外で情報通信機器を利用した業務をいう。

 

次に気になるのはセキュリティーの問題です。

物によっては個人情報や会社の機密事項、プロジェクトを含むものもあります。
そういった場合、できる限りオフィスでの勤務とせざるを得ないこともありますが、
機密性が高くないようなものであればセキュリティー環境さえ担保できれば十分仕事ができます。

就業規則で定める以上にセキュリティーについて注意してもらう旨を記載すべきでしょう。

 

(テレワーク勤務時の服務規律)第4条 

テレワーク勤務者は就業規則及びセキュリティーガイドラインに定めるもののほか、
次に定める事項を遵守しなければならない。

(1) テレワーク勤務の際に所定の手続きに従って持ち出した会社の情報及び
作成した成果物を第三者が閲覧、コピー等しないよう最大の注意を払うこと。

(2) テレワーク勤務中は業務に専念すること。
(3) 第1号に定める情報及び成果物は紛失、毀損しないように丁寧に扱い、
セキュリティーガイドラインに準じた確実な方法で保管・管理しなければならないこと。

(4) 在宅勤務中は自宅以外の場所で業務を行ってはならないこと。
(5) モバイル勤務者は、会社が指定する場所以外で、パソコンを作動させたり、重要資料を見たりしてはならないこと。
(6)モバイル勤務者は、公衆無線LANスポット等漏洩リスクの高いネットワークへの接続は禁止すること。
(7)テレワーク勤務の実施に当たっては、会社情報の取扱いに関し、
セキュリティーガイドライン及び関連規程類を遵守すること。

 

勤怠管理についてはこれまでExcelでの管理をしていましたが、
これを機に、専用の勤怠管理ソフトウェアを使えるように整備しています。

今の勤怠管理ソフトはスマホのLINEやSlackから勤怠入力ができたり、
管理者側も皆の勤怠をWebから確認することもできるようになります。

そして、テレワークで最も気になるところといえばお金回りの規程です。
弊社の場合は、厚生労働省のモデル就業規則に従って、
原則在宅勤務が週4以上の場合は定期ではなく、交通費実費精算としました。
現状も毎月交通費について申請してもらう制度としているため実務上変更はありません。

 

テレワークを行うと従業員の自宅での勤務となるため水道光熱費等が発生します。
また通信についても自宅の分と業務分を兼用することになります。

今回非常に悩みましたが、弊社の場合ではモデル就業規則に習って、
会社の貸与する機器についての費用は当然会社負担とした上で、
テレワーク環境において代替可能な通信手段がある場合は勤務者負担としました。

理由としては、ブロードバンドはモバイル機器でない限り一般的に定額制となっているため、
追加での出費とはならないためです。

水道光熱費についても別途手当を支給するという案もありますが、
取締役会等での十分な議論が必要となるため、現時点では在宅勤務者負担としました。

 

(給与)第10条
テレワーク勤務者の給与については、就業規則の定めるところによる。

2 前項の規程に関わらず、在宅勤務(在宅勤務を終日行った場合に限る。)が週に4日以上の場合の通勤手当については、
毎月定額の通勤手当は支給せず実際に通勤に要する往復運賃の実費を支給するものとする。

(費用の負担)第11条
会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
ただし、すでにテレワーク環境において代替可能な通信手段がある場合は勤務者の負担とする。

2 在宅勤務に伴って発生する水道光熱費は在宅勤務者の負担とする。
3 業務に必要な経費について、会社が認めたものは会社負担とする。
4 その他の費用については在宅勤務者の負担とする。

 

会社の規模等もあり、大盤振る舞いとは言えませんができる限りの運用としています。
もちろん、パソコンやWifiルーター等必要な状況であれば支給しています!

 

必要な設備を揃えるのに助成金を活用しよう

 

東京都の「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」では、
テレワークに関する情報通信機器の導入にかかる費用について、
最大250万円までの助成を行っています。

この助成金を活用して自宅勤務を可能にする社内のネットワーク構築や、
セキュリティーの強化、通信機器の購入、
身近なところではテレワーク用のヘッドセット等の費用に当てることができます。

この助成金を利用する際にも様々な条件が定められており、
その一つが、就業規則にテレワークに関する規程を定めることとされています。

 

(助成条件) 第7条 要綱第5条第1項第1号の事業継続緊急対策(テレワーク)事業とは、
在宅勤務等を可能と する情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備を行うことをいう。
なお、次の各号を満た すものとする。

(1)テレワークの導入とは、社内環境の整備や冗長化と区分ができる取組とする。
(2)テレワークを導入するにあたり、テレワークに関する規定を作成し、
就業規則の届出義務がある企業等は、これを就業規則に定めるものとする。

 

就業規則は所轄の労働基準監督署の届け済み印が必要になるため、
早めに作成し、提出を行いましょう。

 

まとめ

 

テレワークを開始するに当たってパソコンや通信機器の整備は当然必要ですが、
会社の業務を安全かつ円滑に行うためには、セキュリティガイドラインの整備や、
費用負担の原則について就業規則をアップデートすることが必要です。

就業規則は必ず従業員代表者に意見書を貰う必要がありますので、
人事労務担当者が作成した後、かならず従業員代表者の意見書をもらい、
所轄の労働基準監督署に提出しましょう。

就業規則も電子申請をすることができます。
非常にかんたんで郵送費や印刷の手間をなくすことができますので、
こちらもまたお得なやり方をご紹介したいと思います。